社内公用語が英語の会社を選ぶべきかどうかについて
タイの人材紹介会社から紹介される求人案件を見ていると、「社内公用語は英語(あるいはタイ語)」などと書かれていることがある。
入社前の語学力は問わない、入ってから頑張って習得してくれればいいという会社もあるだろう。
入社前の面接の段階でもしこの社内公用語について情報を得ていたら、皆さんだったらどういう選択をするだろうか。
社内公用語が英語の場合
タイの会社で社内公用語が英語の場合、もし英語に自信があって、英語を聞くのも話すのも自由自在というんだったら、このパターンを選んだほうがいいかもしれない。タイに就職するのが初めてだったらなおさらである。
しかし、このときのデメリットも書いておいたほうがいい。筆者はバンコクの某IT企業に勤務した経験がある。そこは英語が社内公用語とされていた。最初は英語だからタイ人との意思の疎通は楽だろうと思っていたのだが、これが違ってたのだ。タイ人の英語というのは妙な癖があって分かりにくいことが多い。そして、向こうも英語を話せるぜ!みたいなプライドを持った人が多く(海外留学の経験がある子弟などが多い会社であった)、そういう連中を相手に英語を使ったときに、きちんとヒアリングが出来ていないことが露見すると、連中からバカにされて相手にされなくなるということがあったのだ。
そのため、「実践英語」の経験を余程積んでいるとかで無い限りは、あえて社内公用語が英語では無い企業を選んだほうが得策かもしれない。
次にタイ語が主に社内で使われる場合を見てみよう。
社内公用語がタイ語の場合
これはバンコク郊外の工場勤務だったら、企業内で使用される言語はすべてタイ語というケースが多くなるだろう。
筆者はこのタイプの経験もある。アユタヤにある工場で働いたときはそうであった。この場合は上記とは逆に、「英語がほとんど通じない環境」だったことを覚えている。ちょっと簡単な言い回し、単語でも通じないし、英語を紙に書いて相手に渡してみせても意味が伝わらないことはしばしばであった。
今、振り返ってみると、「タイに永住覚悟」という現地採用組であれば、あえて社内公用語がタイ語のところを選んだ方がいいかもしれない。
というのは、もちろんタイ語が出来ないことで、タイ人とのコミュニケーションは大変だろうし、ストレスもたまるかもしれない。でも、そこを乗り越えてタイ語を覚えて行ったときには、どのタイの職場でも通用するタイ語力が身に付いているだろうから。
また、タイ語が社内公用語の会社であれば、一生懸命タイ語を覚えようとしている日本人に対して、タイ人も寛容になるだろう。
これが社内公用語が英語の場合で、もし英語が話せなかったらどうなるか。
「一般的なタイ人よりも給料を多くもらっているであろう現地採用の日本人がなぜ英語も話せないんだ!」という話になってくることも考えられる。
どういうキャリアプランを描いているかにもよる
このようにタイでの現地採用における職探しの場面では、社内公用語に注目しておくことはとても大切なのである。タイ語と英語、どちらも使いこなせればベストだが、余程の語学の才能が無ければ、そう簡単に幾つもの言語を使えるものでもない。
また、「就業時間以外で語学を勉強すればいい」と考えることもあるかもしれない。でも、実際に働きだしたら、家に帰宅したときはもう心身ともに疲労していて、とても語学を勉強するだけの心の余裕が残されていないことも考えられる。
そのため、職場で働いている時間はとても大切であるし、働きながら語学を実践で身につけられるような環境に身をおくようにしておきたいものである。
語学力を高めて転職でキャリアアップを目指すというときにも、「タイ語にさらに磨きをかけたい」のか、「英語力を高めたい」のかで方向性も変わって来る。
一般的にはバンコク中心部であれば、英語が社内公用語というところも多い。郊外や地方になると一気にタイ語の世界になるわけだ。
語学というのは転職可能性を高めるための一つの要素だが、タイの場合、より汎用性があるのはタイ語だろうと思われる。現地採用に求められるのも、タイ人と駐在員の橋渡し的な役割だからである。言語も含めた文化的な事柄を体で理解していて、スムーズにタイ人と一緒に働くことが出来るというのが、現地採用に求められる一つのスキルである。
そういったこともあって、各人それぞれ語学に関して好みはあるかもしれないが、長期に渡ってタイで現地採用をやっていくなら英語よりもタイ語を伸ばして行くことを目指したほうがいいよということを記しておく。
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