タイ現地採用なら未経験の職種にもチャレンジしやすい
これはタイで現地採用としての仕事を考える上での最大のメリットかもしれない。筆者の場合、日本での職歴と、タイでの職歴は全く異なる。
営業の経験はあるが日本では個人向けのセールスをやっていた。これがタイでは法人営業ばかり経験している。それも精密プレス部品の工場や、IT企業、射出成形工場など、日本での職務経験はあまり活かされない、自分にとって全くの畑違いの仕事ばかりしてきた。
日本だったら、未経験で未知の業界に転職するのは難しいことなのではないか。未経験であっても何らかの関連したスキルが必要だろう。たとえば、正社員で専門商社で働いていた人がメーカーの営業職に転職するといったケースは割とよくあるだろう。
だが、全く経験の無い人がいきなりメーカーに正社員で転職するのは難しいだろう。年齢が20代でまだまだ転職の余地がある人なら別だが。
タイだとこの辺りの事情がかなりゆるくなる。人材紹介会社から紹介された求人で、ちょっとでも興味が湧く求人だったらとりあえずエントリーしてみる、すると思ったよりも簡単に面接までこぎつけられることが多い。
これは現地採用ゆえの転職のゆるさだろうなと分析している。タイ現地採用の待遇というのは当然のことながら駐在員よりは悪い。日系企業がタイに一人駐在員を送ると一人につき月間100万円のコストがかかると言われている。
現地採用を雇うのであれば、そのコストの半分以下で済むだろう。
多少、スキルや経験が不足している人材であっても、自社で育てて、スキルアップさせていくという考えを多くのタイの会社がもっているので、タイで現地採用をする人も、自分の経験が不足していると自覚していても十分にチャンスはある。
といっても、現地採用に即戦力を求めている企業もタイには多いので注意が必要だ。首尾よくタイで職を得たとしても、実際に働いてみて企業が満足するスキルを有していないと判断されたら、試用期間で解雇されることもありうるのがタイの就業現場の厳しい現実である。
また、現地採用で入社したときに、タイでは一人に任される仕事の範囲が広くなることもある。面接で聞いていなかった仕事についても臨機応変で対応しなければならないことも多い。人が不足しているから仕方ないのであるが、この辺りについてはスキルアップと考えてプラスに受け止めたいところである。
タイに来てマネージメントを初めて経験するということもあった。中間管理職的な地位に立たされ、いわゆる上からは管理され、下からは突き上げられという厄介な立ち位置で右往左往したのである。会社組織におけるマネージメントの大変さをタイで初めて知るということもあるのだ。
色々大変なこと、厄介なことがあるわけだが、それでも未経験の職種にチャレンジするのは面白いことだ。
日本での仕事の経験を活かしたい、でもタイにはそういう仕事が見つからないといった場合はどうするか。
一つはタイでも自分の経験が活かせるような求人が発生するまで待つことである。とくにクリエイティブ系の仕事はタイでも求人が少ない。それでもごくたまに求人サイトを見ているとそういう求人を発見できるので、求人サイトのマメなチェックは大切だと思う。
もう一つは、タイで働くことを諦めて日本で働くことを考えるのもいいだろう。タイよりも日本の方が圧倒的に仕事の数が多い。それだけ求職者のライバルの数も増えるが、エントリーできる職種の種類の豊富さという点では日本に歩がある。
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