求人のチェックポイント〜働いている日本人の人数とその構成
タイの人材紹介会社に登録を終えて、いくつかの求人を紹介されると思う。その求人内容というのは各人の経験やスキルが関係して来るので、各自バラバラであろう。
ここでは、職探しにおいて、共通して当てはまりそうなチェックポイントを紹介する。求人を募集している企業において働いている日本人の数と、駐在員と現地採用の構成比に注目する。
働いている日本人の人数とその構成
- 駐在員が少なく、現地採用も少ない企業
- 駐在員が多く、現地採用も多い企業
- 駐在員が多く、現地採用も少ない企業
- 駐在員がいなく、現地採用のみで構成されている企業
以下、詳しく解説していくことにする。
駐在員が少なく、現地採用も少ない企業
駐在員と現地採用がそれぞれ1〜2名という場合。一般に、タイ人100名に対して、日本人1名が管理者として働いているというのがタイでよくみられるパターンである。
筆者がアユタヤの工場で働いていたときは、駐在員1名に対して現地採用2名(自分を含む)であった。たまたまだが、トップにも気に入られたというのもあり、人間関係的に非常に働きやすい職場であった。
こういう職場だと特にタイ語のスキルが求められると思う。管理者の駐在員のタイ語をサポートすることが出来れば、職場での居場所も確保しやすいだろう。
駐在員が多く、現地採用も多い企業
筆者がタイで3社目に勤めた企業は、このパターンだった。某日系大手IT企業であり、駐在員、現地採用ともに多かった。
このパターンの場合、自分が現地採用だったら、同じ現地採用の仲間が多くといるという点で心強いというメリットがある。現地採用であるから、待遇にしてもたいてい似たり寄ったりのことが殆どである。(中にはスーパー現地採用の人もいて、破格の給与で雇用されていることもあるかもしれないが。)
駐在員と現地採用の棲み分けや、役割もきちんと区別されている。土日のゴルフに強制的に参加させられそうになるようなことも無かった。
駐在員が多く、現地採用も少ない
最も避けた方が良いポターンだろう。筆者はタイで5回目に転職した会社はまさにこのパターンであった。
駐在員の数は8人で、現地採用は私を入れて2人という構成である。これだけ駐在員の数が多いと彼らとの接し方というのが非常に難しくなってくる。また、同じ現地採用の仲間も少ないので、現実的に社内での立場が弱くなる。
そういう会社に入ったときに、駐在員との会話や付き合いが自然と増えることになるが、駐在員の恵まれた暮らしを聞かされたときに、それに対して僻み根性を持たずに、自然と受け流すことが出来るかどうか。
たとえば、こんな話を駐在員上司から言われたらどうするか。
「ホテルに会社から住まわせてもらっていて、毎日メイドさんが部屋を掃除してくれる」
「会社とホテルの往復は全部、社用車で送り迎えしてくれる。バイク通勤?大変だね、雨のときとかずぶ濡れになっちゃうでしょ?」
こういう話を聞かされたときに、いちいち向かっ腹を立てずにやんわりと対応し、なおかつストレスを溜め込まないような心の持ち方が必要になってくるわけである。
自分は自分であり、どんなに待遇が駐在員よりも劣っていたとしても、タイで目標を持って現地採用をやっているのだ!と、自分の心の中できちんと納得が出来ているかどうか。そういう部分でブレない自己を持っておきたいものである。
後、このパターンのデメリットとして、会社から週末のゴルフに誘われる機会が増えてしまうということがあげられる。そもそも、現地採用が自腹で土日のゴルフに参加する義務があるのかどうか。筆者は現地採用はゴルフへの参加義務は無いと考え、会社からのゴルフの誘いはすべて断った。
ただ、駐在員が多い会社というのはその辺りの考え方が曖昧だ。駐在員と現地採用に待遇には差をつけているのに、現地採用にも駐在員と同じ働きを要求する傾向があったら注意しなければならない。
もちろん、現地採用だからといって、生半可な仕事をしていて、給与分の仕事をしなかったら問題だ。だからといって、週末のゴルフまで自費で参加する必要はあるのか。取引先とゴルフをするというのは会社の代表としてゴルフをするのであるから、現地採用といういわば余所者(あるいは傭兵的存在)がゴルフまでして会社に献身的態度を示す必要はあるまい、というのが筆者の考えである。
駐在員がいなく、現地採用のみで構成されている企業
タイローカル企業や、日本人がタイで企業したような会社がこのパターンにあてはまる。筆者はこのどちらも経験がある。
ある意味、現地採用として長く勤めて行こうと思うなら、このパターンの会社に入ってしまうのが一番だろう。最大のメリットは駐在員がいないことである。
日本本社が存在する日系企業に勤めた場合、「頑張れば駐在員にしてやる」みたいなことを会社から言われることもある。そういうのは空手形だと思っておいたほうがいい。余程上司や会社に恵まれて、抜擢人事を受けて現地採用から駐在員に昇格するというケースも無いわけではないだろう。
だが、多くの日系企業というのは、「新卒で採用されたのか、中途採用か」とか、「本社採用か、現地採用か」といったことにこだわるものである。年功序列の強い、旧来型の日本企業もタイではまだまだ多い。そういう古い体質の会社にいたら、現地採用から駐在員になるというのも相当難しいものになると覚悟しなければならないだろう。
本気で仕事に取り組み、スキルアップをして会社に貢献をして、出世をしたいと望んでいるのであれば、現地採用のみで構成されている会社で頑張るのが一番だろう。
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