日系企業とタイローカル企業、どちらを志望すべきか

日系企業とタイローカル企業、どちらを志望すべきか

タイにおける現地採用での就職活動。さあ、これから面接を受けまくって、最高の会社に就職してみせるぞ!と気合いを入れたとき、問題になってくることがある。それは、、、

 

日系企業とタイローカル企業、どちらを志望すべきだろうか??

 

という問題だ。

 

昔と違って「タイで働く」ということも日本人にとってかなり身近になったと思われる。以前は今とくらべたら相当ひどい待遇で働かされた現地採用の日本人も多かったらしい。今でもブラック企業の本質は変わらないかもしれないが、ネットでの情報も多いため、就職前の判断材料が増えたという状況ではあると思う。

 

このページでは、まず日系企業とタイローカル企業のそれぞれの特徴を浮き彫りにしつつ、この問題について考察していく。

 

日系企業

メリット

①ビジネスビザやワークパーミットの取得などにおいて、入社後に安心して会社に任せられる
もちろん、人事や総務部門がしっかりしていない会社だったら、日系企業でも危ないかもしれないが、一般的には特に問題が無い企業が多い。

 

②福利厚生がしっかりしている会社が多い
日系の大企業になると、日本人の現地採用に対しても制限付きですが医療保険が与えられたりする。

 

③同じ日本人なので安心感がある
これは特にタイでの就職が初めてという場合だったら、重視すべき点かもしれない。タイ語が全く話せなかったり、タイ語でのコミュニケーションに不安があるようだったら、日系企業を就職先に選んだ方が無難だろう。

 

デメリット

①駐在員との待遇の差が激し過ぎる
給料面、福利厚生面などその他諸々で、現地採用と駐在員というのは待遇の差がはっきりとしている。駐在員になれば日本でもらう給料の他にタイでの給料が支払われ、運転手付きの車だとか、スクンビット沿いの高級コンドミニアムなどに、会社の経費で住むことが出来たりするわけだ。

 

また、入社後に同僚のタイ人から、現地採用ということで見下されたり、差別されるケースもある。タイ人が頼み事を聞いてくれず、協力してくれないなんてことはよくあるものだ。

 

※自分が直面したケースを紹介しよう。その会社は社内公用語が英語であった。某大手IT企業だが、会社で働く社員は誰でも社内では英語を話さなければならないルールになっていた。週に一回開かれるミーティングのときのことだ。日本人駐在員が会議に出席しているときにはタイ人は英語を使うのだが、駐在員が席を外した途端にタイ人がタイ語で話し出してしまうのだった。

 

これは現地採用がタイ人から下に見られてしまうという問題の一つの例である。タイ人にしてみれば、「現地採用はタイ語が出来るんでしょ?」とでも言いたいのかもしれない。タイ人にとっては、駐在員と同じ対応をする必要は無いという判断があるのだろう。タイ人はそれだけ相手によって態度をコロコロ変えるタイプも多いので気をつけねばならないのだ。

 

タイローカル企業

メリット

①日本人が自分一人だけ、あるいは少数ならば相対的に自分の存在価値が上がる
タイローカル企業に現地採用として就職した場合は、「日本人担当」とか、「日系企業の担当窓口」という役割になると思われる。当然のことながら、その役割をこなすためには日本的な企業文化をしっかりと理解していて、ビジネスマナーを含めきちんとした振る舞いが出来ることが大事になってくる。

 

社内的にはハイレベルなタイ語が出来て、タイ人と意思疎通が出来るぐらいでないと勤まらないかもしれない。(タイローカル企業で勤める知人によれば、「タイ人とタイ語で喧嘩ができるぐらいでないとタイローカル勤務はやめたほうがいい」ということであった。)

 

以上のように大変なこともあるが、それを上回る意味で、タイローカルで働くのはメリットとして大きいものがある。社内に対しては日本の同質的な企業文化に合わせることも無く、また、駐在員の存在や日本本社に対して気兼ねすることも無いだろう。

 

デメリット

①ビジネスビザやワークパーミットの取得などにおいて、タイローカル企業では不安がある
よくあるケースなのが、入社が決まったはいいが、会社がビジネスビザやワークパーミットの取得のサポートをしてくれないということなど。

 

気をつけたいのが、「今までに日本人を一人も雇ったことの無い会社」である。そういう会社ではビザや労働許可のノウハウが無いわけだから、入社にはかなりのリスクが伴うと考えた方がいいだろう。

 

場合によっては、コンサルティング会社などに依頼をして、ビザやワークパーミットの取得関連の相談をしなければならないケースも出て来るだろう。そのときの費用をどうするのか?という交渉も会社と自分でやらなければならないだろうし、タイローカル企業は様々な面で自己責任が問われることが多いはずだ。

 

②タイ人との社内の人間関係の問題
これは日系企業に勤めたとき以上に気をつけねばならない問題だ。よくいわれるのが、「タイ企業では社長に気に入られるかどうかがすべて」ということである。

 

あと、タイ人の同僚との関係をこじらせると、それが元になって解雇されることさえある。

 

筆者にもタイローカル企業で勤めた経験がある。会社がひどくブラックな体質をもった企業であったのと、ワンマン社長とそりが合わなかったということもあって、その会社は退職をした。オーナーの一族はBMWやアルファード、その他の高級車で自社工場へ通勤をしていた。工場のガレージにずらりと並べられた高級車を見て、タイの格差社会の激しさというものを見せつけられたのだった。

 

そういった私利私欲を満たすための彼らの消費行動というものを受け入れられるかどうか、そのような心情的な部分も実は問題になってくるのではないか。

 

自分が仕える経営者に対しても、人格的に尊敬すべき点が多くあって、「この人についていこう!」と本気で思えるなら問題は無いだろう。素晴らしい経営者や上司と出会えた場合には、その経営者が贅沢品を購入していても、不思議と腹が立って来ないからである。

 

だが、どうしても好きになれない経営者だったらどうだろうか。「この社長は俺たちをこき使って、自分はたいした仕事もせずに、BMWを乗り回している。許してなるものか!」という嫉妬と義憤が入り交じった複雑な感情に囚われることになる。

 

まとめ どちらがどうと言い切れない、各会社で事情は異なる!

 

以上のように日系企業とタイローカル企業の違いを見て来た。こういう風にメリットとデメリットでまとめてみると、それぞれの特徴が明確になったような気がして来るものだ。

 

しかし、単純に、どちらがどうだと結論付けられないものがある。大事なのは転職したその人が、その職場にマッチするかどうかであり、ある人にはAという職場がマッチしたが、もう一人の人にはミスマッチだった!なんてことはいくらでもありうるからだ。

 

職場自体はよくても、たまたまついた直属の上司が自分と合わなければ、転職後うまくいかないこともあるだろう。

 

そのため、ここで大事になってくるのは、出来るだけ多くの企業に応募し、面接の機会を多く得て、内定を多くもらい、その上で各社を比較するということなのである。