女性が多い職場は大変だ

女性が多い職場は大変だ

これは日本でもアジアでも世界のどこでもおそらく当てはまることであるが、女性が多い職場で働くことは難しい。とくに、自分が男性で、女性ばかりの職場に入っていくというのは相当な覚悟が必要だろう。一見、女性ばかりの職場というのは華やかであり、一種のハーレム状態、ウッヒッヒ!みたいなことも感じられなくもない。そうやって、職場ハーレムを満喫できる男性も中にはいるだろう。だが、それには個人的な容貌の良さやコミュニケーションスキルの高さなどが要求される。

 

アジアで働くのが大変なのは、日本よりも女性の社会進出が大いに進んでおり、オフィスの中にいる女性の比率が高いことなのである。とくに、職場によっては例えばタイの工場では、オフィスの従業員の9割以上が女性ということもある。マネージャーの役職に就く女性も多い。

 

女性の権利が向上し、男女平等の社会が実現されているという点だけを見ると、これは一見民主的でとても良いことのように見える。だが、そこで働く労働者にとっては、オフィスの人間関係の問題で多分に手こずることが多い。

 

女性マネージャーに一度目を付けられたら終わりである

 

タイのアユタヤの精密部品工場において勤務していた頃のことであった。その職場は日本人以外のオフィスの100%が女性であった。工場の現場労働者やエンジニアには男性も多くいたのだが、書類仕事を扱うオフィスの方は100%が女性だったということだ。

 

タイでもマイナーなアユタヤの工場である。日本人が入社してきたということで、工場で働くタイ人にとっては珍しいこともあったのだろう。入社当初、私は鳴り物入りで大歓迎を受けて、非常に居心地の良い職場環境の中で働くことが出来ていたと思う。

 

ところが、3か月が過ぎ、半年が過ぎて、少々周囲の様子が変わってきた。私は工場での仕事が未経験だったこともあって自分から積極的に何の仕事をしていいか分からず、半ば社内ニート状態に陥っていた。「こんな状態で会社から給料をもらっていて恥ずかしくないのか!」という良心の呵責も沸き起こってきた。そうやって反省しながらも、労働意欲は減退していき、工場内をぶらついたり、ネットを見たりして時間つぶしをする日々が続いていた。

 

そうこうしているうちに、私の怠惰な働きぶりを黙っていなかったのは、タイ人女性マネージャーであった。彼女はその工場が立ち上げられてから割とすぐ入社した社員らしく、社長からも工場長からの信頼も厚かった。日本人工場長いわく、「彼女がいなかったら、ウチの工場は今、これだけの状態になっていなかっただろう」ということであった。

 

実際、彼女の能力はとても高く、それと同時に大変な働き者でもあるらしかった。

 

そのタイ人女性マネージャーは、私が社内で怠惰に過ごしているらしいというのを感じ取ると、あらゆる場面で、私に嫌味を言ってきたり、口撃を加えるようになってきた。

 

私は彼女からの攻撃をなるべくスルーするようにはしていたが、言い返さないでいるのもストレスがたまるものであった。かといって、実務については彼女の方がよく知っていた。

 

タイで働く日本人というのは、現地のタイ人とうまくやらなければいけないということの真実はそこにあると思う。タイ語が出来て、タイの事情をよく知っているのは、やはり、タイ人なのである。そして、実務に通じていて、仕事の上で実作業をしてもらうのもタイ人だ。日本人というのは職場のタイ人に仕事を依頼することが多いので、普段から職場のタイ人とは良好な関係を築いておかなければならないのだ。

 

と、頭ではわかりつつも、感情の方がそれを許さずに、相変わらず、筆者の心中にはムカムカとした恨みの感情にも似たマグマが渦巻いていた。困ったものである。

 

そうして、私はその工場を退職することになるのだが、辞めるときに最後に言った彼女の一言が今でも忘れられない。彼女は半ば軽蔑のこもった薄笑いを浮かべながら、

 

「〇〇さん、あなた、一体、何歳なんですか?」
「え?35歳だけど」
「35歳、、、。ふーん」

 

その年齢で、その程度の仕事しかあなたは出来ないんですか?と彼女は言いたいがために、割と回りくどい言い方でもって責めてきたんだろうけれども、やはり、キツイ言い方をする人だと思う。だから、筆者は女性と働くのが嫌なのである。

 

女性の多い職場で孤独に過ごすのは中々の修行である

 

ベトナムのホーチミンで、とあるメディア関連の企業で勤めたときにはこんなことがあった。そこは、日本人がベトナムで起業した会社であった。

 

タイの工場ほどではなかったけれど、日本人もベトナム人も女性が多かった。

 

とくに、現地採用で働く日本人女性たちも多くいた。私はそのうちの誰とも仲良くなることはなく、常に会社で独りぼっちであり、同僚からは疎んじられ、完全に孤独な会社員生活を送っていた。

 

その会社には新卒で入社したという若い日本人男性がいたが、ルックスの良さも手伝ってか、社内の女性からは非常に受けがよく、一人きりで自分の殻に閉じこもっていた私とは対照的であった。

 

社内の割と年増ではあったが元々は美人だったんだろうなあと思わせる日本人女性が、その若い日本人男性に対して親密な態度で接するのを横目で見ながら、私は自らの年齢に不相応な男性的魅力の欠如であるとか、件の日本人男性への嫉妬の感情を抑制することが出来なかった。

 

「ケシカラン!ここは職場だぞ、何で彼奴が女たちからチヤホヤされて、何でこの俺が女たちから邪険に扱われなければならないんだ!不平等じゃないか。忌々しい!」

 

こんなことを考えながら、悶々とした思いでその職場では過ごしていた。

 

ハノイで出会った素晴らしい女性営業マン

 

こんな筆者ではあったが、アジア現地採用をしていて、一人だけ素晴らしい女性営業マンにあったことがある。それは先述のベトナムのメディア関連の企業に勤めていたときのことだ。

 

ホーチミンからハノイ支社に異動になったことがあった。意に沿わないハノイ勤務で、異動になった当初はハノイ勤務が嫌で仕方なかった。

 

だが、ハノイのオフィスの隣に座っていたベトナム人女性が素晴らしい人だったので、仕事も大分楽しくすることが出来た。

 

彼女は仕事が抜群に出来てトップセールスであるだけではなく、優しさと謙虚さを併せ持っている人であった。男性を立てる態度を心得ている人でもあったので、一緒にいて気分よくさせてくれる人だった。

 

私は営業マンとしてお世辞にも良好な営業成績を上げることは出来なかったが、彼女はそんなことは一切関係が無いという態度を崩さなかったので、彼女とは楽しく仕事ができた。

 

その女性はかなり例外な部類に入るかもしれない。一般的に、職場の女性の男性に対する評価というのは手厳しいものだ。

 

アジアに出ていく日本人女性はパワフルな人が多い

 

とくにアジアに出てくる日本人女性によくあることなのだが、仕事での成果の正当な評価とか、スキルアップとか、実力で勝負といった事柄に関心が強くなり過ぎて、男性には絶対に負けない!みたいに、男性に対して強い敵愾心をむき出しにしてくるケースが多いのである。

 

そこまで強気の態度ではなかったとしても、少なくとも男性とは平等なのが彼女たちにとって当たり前のことである。男女平等は大変結構なことであるが、そういう鼻息が荒い日本人女性にアジアで出会うと非常に疲れる思いをするのは何も筆者だけではないであろう。

 

女性が多いアジアの職場で男性の肩身は狭くなる!?

 

日本人女性が職場で抑圧されて、男性に従属するような地位に甘んぜざるを得ないような情況が日本の職場にあったという事実は否定できない。とくに、昭和の時代のオフィスは女性差別が酷かったということをよく見聞する。

 

いまの日本の職場でアジアほどの男女平等が実現されているとは筆者は到底思わない。やはり、実感として日本の職場は男性社会だと思う。そういう大変な状況を何とか打破すべく、アジアに活路を見出す日本人女性は多いだろう。

 

そうした仕事に対して真面目な考え方を持った日本人女性たちは、筆者のようなグータラで、ニート気質を備えており、隙あらばサボってやろうなどという不真面目な日本男児に対しては、猛烈な敵意を感じてもおかしくはない。

 

内定を辞退することも検討に入れた方がいいだろう

 

女性の多い職場から内定を得た場合、自らが集団の女性たちとうまくやっていけるのか冷静に自身のコミュニケーションスキルを評価する必要がある。

 

何しろ、一対一で女性と対するのではない。職場では集団の女性を相手にしなければならないのだ。時には用事の無いときにも話しかけるなどして女性のご機嫌を取る必要も出てくる。また、これが一番難しいところだろうが、自分が男性だったら、職場内の誰か特定の女性をチヤホヤしすぎないのが肝心である。職場の人間からの嫉妬の感情を一身に浴びることになるだろう。

 

女性の多い職場が無理そうだというのなら、内定を辞退しても良いと思うのだ。面接の際にオフィスの男女構成比率というのは質問事項のひとつに入れておいていいかもしれない。

 

自分がトップのマネージャーで転職するのならともかく、下っ端の役職や平社員で入社したら、それこそ、職場の女性たちに気を使って、社内政治に心を病むことにもなりかねない。