転職回数は何回まで許されるか?
タイ現地採用の転職の現場において、転職回数は何回まで許されるものだろうか。ここでは、筆者がこれまで体験してきた実例で、そのことを分析してみたいと思う。
タイでの就職が初めての時
これが最も高く自分を売れる時である。特にタイ語が話せなくても問題は無い。タイで働いたことが無く、タイ語学校にも通ったことが無ければ、タイ語が話せないのは当たり前だからである。また、企業は人材の「将来性」ということも加味してくれる。
私も日本での就業を終えて、タイで現地採用として転職活動をした最初のときが一番書類選考も通りやすく、数社から内定をもらったことを覚えている。
受かりやすいのは良いのだが、タイで働いた経験が無いと、自分にとっての「良い企業」と「悪い企業」というのがうまく見極められないかもしれない。業界ごとに仕事内容や、そこで働いている人の性質もかなり違って来る。経験が無いと転職活動をするにあたっての将来への仮説が立てにくい。
最初は業界や職種に関係なく、とにかく数多くエントリーすることが大切である。そこで面接に行ければ面接に行き、企業の担当者から生の情報を得て感触をつかむといいだろう。タイで働いたことが無くても、面接に行って担当者と会えば、何となく雰囲気はつかめるものだ。
それでも最初のタイでの就労は失敗に終わることも少なくない。
転職2回目
転職は2回目までは割と有利に進められると思う。というのは、タイでの就労が無ければ、どうしても最初の就職で会社選びに失敗することもあるから。「入ってみたけど、ひどくブラックな会社だった」とか、「将来を考えると別の業界に転職したい!」など色々あって転職することになる。
ただし、転職は2回までにしておく方がいいだろう。
転職3回目
ここまで来るとちょっと転職がしにくくなってくる。書類選考に通過しなくなるのを肌で実感することになった。
参考までに筆者の過去のデータを載せておこう。
- エントリー 46社
- 面接 12社
- 内定 2社
書類選考突破の割合が3割を切ってしまっている。人材紹介会社からもらった求人票を見て、「おっ、よさげな会社だな、エントリーしよう」と思っても落とされてしまうのである。面接さえ行けないという、中々困難なしんどい状況に陥るわけだ。
ちなみに、このときは内定を獲得して転職するのに約2ヶ月間かかった。金銭的な余裕があればもう少し転職活動を続けようと思っていたが、生活費はカツカツだったので、とある某大手ITベンダーへの転職を決めた。
転職4回目
面接に進まなくなるのが当たり前になってくる。希望条件や待遇、その他諸々をかなり妥協しなければ書類選考を突破出来なくなってくる。
まとめ
もちろん、ここであげたのはあくまで筆者の個人的なケースである。どういうスキルを持っているか、あるいは、過去の勤続年数によっても異なるだろう。一概に転職回数だけで判断されることは無いかもしれない。
しかし、タイでの職歴が過去に3社ともなれば、人事担当者から「ありゃりゃ、この応募者はころころ職を変えるかもしれない、せっかく採用してもウチにも長居はしないかもな」などと思われかねない。
タイで長く現地採用としてやっていこうと思ったら、1社に出来るだけ長く勤めることが一つのリスクヘッジになることだろう。
企業内にいる組織人というものは転職者に対して、「キャリアの一貫性」とか、「辛抱強さ」を求めるものだ。ましてや、タイで現地採用で働く場合、就労先の多くは日系企業になると思われる。となれば、硬直した20世紀型の労働観、職業観をもった人事担当者は多くいるはず。古い感覚の持ち主であれば、「転職回数が多い」というだけで採用を見送ることはよくある。
面倒くさい日本の雇用環境や労働環境を嫌って、タイにまで来たというのに、やはりタイでもその面倒くささに付き合わねば、職は得られないというわけである。
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