タイでジョブホッパーするのも悪く無い
ジョブホッパーというのは一般的にそうであってはならないモノだとされている。職を頻繁に変えている限り技術が身に付かないし、いつまでたっても半人前のままだとか何とか。ジョブホッパーはまともに会社員として生きている人から様々な批判を受けることが多い。
本当にジョブホッパーでは駄目なのか?そして、タイでジョブホッパーをすることの意味は何なのか?それについてここでは考えてみたい。
ジョブホッパーはストレスフリー
筆者の場合、タイで働き始めてから3年間で5回転職した。見事なジョブホッパーである。これだけ経験したときに一番のメリットは何かと問われたら、「ストレスがたまらない」ということである。
会社の仕事というのはたいてい、社内の人間関係のストレスから生じるものだ。日本人駐在員との関係、同じ現地採用との関係、タイ人との関係など、タイの会社で働いていたら日本で働く以上に人間関係の面で気を使うことが出て来る。
どこまでその人間関係の問題に耐えるか。私は、「どうしても我慢できないのなら耐えない」という選択をしてきた。そのおかげで追いつめられて精神の病に冒されるなんてことも無かった。
色々な会社を見ることが出来る
ジョブホッパーをしていると、タイにある様々なタイプの会社を見ることが出来る。日系のメーカー、ECサイトを運営している会社、某巨大ITベンダー、タイローカル企業などなど、、、筆者は短期間でこれらの会社を渡り歩くことで、もし一社しか知らなかったら知ることが出来なかった会社組織の全体像、多様性といったものを知った。
所詮、ある会社で通用しているルールなど、その会社でしか通用しないものなのだということも分かって来る。それは、会社で身に付けた知識というのも、転職をした途端に別の会社では役立たなくなるケースもあるということだ。
大企業に入った方がいいのか。それとも小企業の方がいいのか。はたまた、「現状ではいまいち大企業にはなれないが、これから脱皮して大企業になりたがっている中規模の企業」も経験している。それぞれのタイプに特徴がある。自分に向いている企業というものが、職を渡り歩くことでだんだんとその輪郭が見えて来る。過去に働いた企業と現在働いてる企業を比較して分析できるという効能もある。
自分に合う仕事・会社が見つかるまで転職を続けるしかない
究極のところは、自分に合った場所が見つかるまで転職活動を続けるしかないということだ。入社前は夢を膨らませていることだろう。「やっと仕事も見つかった、これからガンガン働いて、会社に貢献して、自身のスキルアップも同時にやっていくぞ!」などと鼻息荒く考える人もいるかもしれない。
大志を抱いて入社したにも関わらず、どうしても社内の人間関係面がうまくいかないこともある。タイ人から目の敵にされて、潰されることだってある。自分では社内の人間関係改善に努力してみたが、どうやってもうまくいかず、四面楚歌状態を瀕死の思いで我慢するなどといったことだ。
会社というのは入ってみないと分からないものである。
だったら、合わない会社からは早めに見切りをつけるというのも一つの方法だ。この見切りを間違えて、「もうちょっと頑張れば社内の居心地がよくなるかもしれない」などと考えてズルズルと転職を先延ばしにすると、自分の心が知らぬ間に蝕まれて、ある日突然会社に行けなくなるようなことだってある。
それだったら、在職中に転職活動を開始しておくのは悪いことではない。ついつい、在職中の転職活動というのは、「いまの会社の人たちに申し訳ない」などという考えが浮かんでしまうものだ。
とくに日系企業にいたら人間関係がウェットで、親分肌の上司などがいたりして、「お前のことは俺が責任をもって一人前にする!」などと言われ、そういう人情肌の上司に対して自責の念を感じたりするものだからだ。
実際に退職してしまうと、そうした日系企業の人情というものはたいてい偽装されたモノに過ぎないことが多いことに気付く。退職後も付き合えるような人は稀である。とくに自分が現地採用だったら、退職した後にも親しい関係でいられるような駐在員というのは中々いないだろう。(皆無ではないが。だが、現地採用と駐在員というのはもともと抱いている仕事観、会社観がまるっきり違うものである。同じ会社で働いていた頃にはお互いに仲のよさを偽装していたとしても、退職後にはそうした親しさというものが演出に過ぎなかったことに気付くのだ。)
デメリットはあるのか?
もちろん、タイで職を転々とすることにデメリットは無いわけではない。その一つは、転職をするときに応募した企業から、「忍耐力が無いのではないか」と疑われることである。
よく石の上にも3年といわれる。どんな仕事でも3年やってみなければわからないとか何とか。確かに、この言葉には一理も二理もある。
だが、この言葉にとらわれてしまって、3年もたずに転職してしまう自分を、「何て自分は駄目な人間なんだ!社会人失格だ!不適応もいいところだ!」などと責めてしまうのがよくない。
それとデメリットの二つ目は、このページでも先述したが、ジョブホッパーをやっていると自分の中に技術が蓄積していかないということだ。ただし、その仕事上で身につけるべき技術というものも自分で相当程度、分析する必要がある。自分が長い職業人生を賭けて身に付けたい技術というものは一体何なのか。また、その技術を通して何を実現したいのか。
終身雇用が当たり前の時代ではない。だから、他社でもどこでも通用する技術を持った方がいいという意見が出て来る。だが、そんな卓越した仕事の技術というものを持つのは容易なことではない。
たまたま入った会社が自分に合っていた、偶然自分のことを気に入ってくれる上司に巡り会えたなど、そうした偶然の出会いから、最初は興味の無かった仕事でも徐々に好きになって、ここでいう技術の向上もいつの間にか出来ていた、、、そういう人の方が多いのではないか。
世の中は偶然の要素から成り立っていることが多いのにも関わらず、仕事で成功した人たちというのは時に高みから、ジョブホッパーを見下し、その忍耐力の無さを批判するものだ。
それでも、結果として偶然を手に入れて、自分の仕事が見つかった人はとても幸運である。
まとめ
多くの人は自分の意に添わない会社の仕事を我慢してやっているだろう。家族がいて仕方なく身動きが取れない人もいるはず。
だからといって、ジョブホッパーであってはならないという結論にはならない。タイで仕事を探すときのメリットといったら、再挑戦がしやすいということが挙げられる。転職可能な限り自分の適職や、自分が最も才能を発揮しやすい場所を探し求めたいものである。
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