タイのアパートを比較する〜エカチャイとチャチュンサオ
タイに現地採用で働くとなれば、アパートの住環境はとても大切になる。土地勘の無い場所でのアパート探しは困難を極める。どんな場所であっても住めば都なのだが、それでも入居前にいくつかチェックしたいポイントというのも出て来る。ここではバンコクのエカチャイとチャチュンサオという両極端な場所での比較を通して、快適なアパート暮らしにおいて何が必要かということを浮き彫りにしたい。
エカチャイのアパート
読者の皆さんはバンコクにエカチャイというエリアがあることをご存知だろうか。バンコクの西のはずれ、チャオプラヤー川を渡って、BTSでいうとウッタカート駅が最寄り駅のエリアだ。
筆者がなぜエカチャイに住んだかというと、就職した会社がこのエリアにあったからに他ならない。アパート探しはウッタカート駅を降りて、ひたすら歩き回って一軒、一軒の物件を見てまわった。
ウッタカート、エカチャイともに物件の月額料金は3,000THB〜ぐらいで、かなり安かった。しかし、とても綺麗なアパートとは言い難いものが多かった。老朽化し過ぎている。アジアの古いゲストハウスといった風情だ。備え付けのベッドも痛んでいて、シミがついていたりする。
長く住むなら出来るだけ小綺麗なアパートに住みたいと考えて、私は二日間かけてエカチャイ周辺を歩き回って、やっと「これなら満足!」という物件に巡り会った。
月額家賃は4,000THBだった
まずはアパートの間取りから。部屋はとても小さい。ベッドが一つ、クローゼットと化粧台、背もたれの無い小さな椅子、モノを収入するための家具などがあった。冷蔵庫とキッチンは付いてなかった。
浴室はトイレとシャワーが一緒になっている。ちなみに、もともとシャワーに温水器は付いておらず、管理人と交渉し「1年契約」にするということで、入居前に温水器を付けてもらった。
白を基調にしたデザインのアパートで、清潔だし、一見住み心地が良さそうに見えた。住み始めてしばらくすると、ベッドが堅過ぎることに気付いた。一日が終わってベッドに転がる瞬間に、ベッドが堅いとイライラしてくる。
それから、騒音も気になった。これはバンコクのアパートだったらどこでもある程度は当てはまるかもしれないが、夜中でもマフラーを改造したバイクの騒音がうるさくて叶わない。
アパートからの交通手段
エカチャイのアパートの場合、アパートの前にソンテオが走っていないのもネックだった。青色のバスが走っているけれども、本数はあまり多く無い。パークソイ(ソイの出口)に出るまで徒歩だとかなりの距離があって、そのためにバイタクを使うはめになる。
バイタクに乗った場合、BTSのウッタカート駅までは最低でも50THBだった。バイタクは運転手によってこちらが外国人だと分かるとぼったくるケースもあるのであまり利用したくなかった。
エカチャイの大通りで走っているソンテオは7バーツだった。
BTSの駅から遠いアパートで、なおかつバスの本数も少ないようなエリアだと、家賃が安くなる代わりに交通費が意外と高くなってしまうということは問題点としてあげておきたい。とくに、バンコク中心部に行って帰って来るのに、バイタクとBTSの両方を使ったら、往復で200THBほどかかる計算になる。
一度、アパートからプロンポンまでタクシーに乗ったら下道を使って片道で250THBかかった。
ちなみに、アパートからドンムアン空港までは373THBだった。そのときも高速道路を使わなかった。
アパートの周辺環境
近所にビッグシーはあったが、徒歩圏内には無かった。これもバイタクで行くか、徒歩とソンテオを混ぜることになる。アパートの近くには小さな市場があって、カオマンガイ屋とか、クイッティアオ屋、イサーン料理屋はあった。しかし、露天商の種類が豊富とは言えなかった。味も不味くは無いが今ひとつである。
筆者はカフェが好きなので、ふらりと立ち寄ってのんびりと過ごすカフェが近所にあると嬉しいが、徒歩で行ける場所にそういうカフェは一軒も無かった。あったのはコーヒー屋台だけであった。
タイのローカルエリアに住むことで、もっとタイを深く知りたいという気持ちはあったが、やはり安いのにはそれなりの理由があるものだ。ローカルエリアは不便だし、口に出来る食物に関しても限定されてくる。長く住んで、ローカルの食事ばかりで野菜や果物類を摂取しないでいたら、そうした食生活は健康にも悪影響を及ぼすだろう。
ただ、悪くなかったのは、アパート周辺のタイ人たちである。気さくで親切な人が多かった。こういうのがローカルエリアに住む醍醐味かもしれない。
チャチュンサオのアパート
ここも仕事の関係で住んでいたアパートである。新しい会社での就労が決まり、バンコクからチャチュンサオに引っ越したのだった。
チャチュンサオというのはバンコクから約60kmほど離れた場所にある地方都市である。チャチュンサオ県そのものはかなり大きいが、鉄道駅がある周辺が中心街になっていて、ほとんどの重要なスポットがそこに集中している。
バンパコン川が流れており、川沿いには公園やカフェもあって、清潔で健全な地方都市という印象があった。
そこでのアパート探しに利用したのは、RentHubという物件検索サイトであった。
チャチュンサオの月額8,000THBのアパート
そのアパートは私がタイで借りて来た中でも一番ゴージャスに見えるアパートで、暮らし心地も最高に快適だった。
部屋の広さは40sqmであった。窓は二方面に三つ付いていた。角部屋なので窓を開け放すと涼しい風が入って来る。
冷蔵庫と電子レンジは備え付けられていた。キッチンも広くて使いやすい。キッチンの隣がミニバー風になっているのもお洒落である。
浴室のトイレとシャワーが別々になっていて、色使いもモダンそのものだった。
外からの騒音はほとんど聞えなかった。夜はシンと静まり返って、気持ちよく安眠が出来る場所だった。さすが地方都市である。
バンコクにある同程度の家賃のアパートと較べると、コストパフォーマンスが高いという印象を持った。
アパートからの交通手段
私はその当時、バイクを持っていたので、交通には全く苦労しなかった。どこへ行くにもバイクを使った。
だが、バイクや車を持っていないとなると、地方都市のアパートで辺鄙な場所で暮らすのは大変かもしれない。アパートの前にはたまにバイクタクシーが通り過ぎるぐらいだった。大通りにはソンテオが走っているが、本数はどれぐらいあっただろう。
アパートの周辺環境
バイクで10分ぐらいのところにロビンソンがあって、普段の買い物はここで済ませることが多かった。ビッグシーもあって、安い買い物をしたいときにはそちらの方も利用した。
セブンイレブンもあるし、タイ料理のレストラン、大きめな市場もあった。
チャチュンサオで気に入っていたのは、お洒落なカフェが多いということだった。
314号線の沿道沿いによく訪問していたカフェがあった。名前は『Nai Lar Cafe』であった。
緑に囲まれたカフェで、落ち着いてコーヒーを飲んで、リラックスした気分を味わうのに良い店だった。
店主はかなりの日本好きでアート志向の好人物であった。
アートへの造詣も深く、金儲けよりもスローライフに重きを置いているようだった。カフェにふらりと出かけて行き、主人やほかの客との交流を楽しんだ。タイでのかけがえの無い時間として今でも私の心に残っている。
まとめ
いかがだっただろうか。都会と田舎暮らし、いずれも一長一短ではある。とはいえ、個人的な思いとしては、やはり田舎暮らしの方が気分が落ち着く。バンコクの喧噪や人混みは始めのうちは刺激的で面白いが、慣れて来るとストレスになってくる。
交通手段の問題さえクリアできれば、田舎で暮らした方が家賃も下がるし、部屋のクオリティーもアップする。