バンコクにあるIT企業で営業職として働くS・Nさんの話

バンコクにあるIT企業で営業職として働くS・Nさんの話

プロフィール

  • 名前:S・Nさん
  • 年齢:40歳代
  • 業界:バンコクにあるIT企業
  • 職種:営業職
  • 現地採用歴:3年半
  • 給与:60,000THB/月

 

バンコクにあるIT企業で営業職としてバリバリ働いているS•Nさんに、現地採用として働いた感想を語ってもらった。

 

タイに来たきっかけ

 

米国留学中に知り合ったタイ人の妻のためです。前は日本で妻と暮らしていましたが、妻が「早くタイで暮らしたい」と言ったものですからタイ移住を決意しました。

 

どんな仕事をしていますか?

 

営業職としてITソリューションを販売しています。商品はサーバー、ハード製品一式、ソフトウェアなどです。お客さんは私の場合、すべて製造業です。アユタヤやラヨーン、チョンブリの工場に仕事で行く事がよくあります。

 

既存のお客さんから商品を買ってもらったり、日本本社からの引き合いで商売になることもあります。

 

「今度、タイで工場を立ち上げるんだけど、、、」

 

こういったお話を日本からいただくことがあるので、そういうチャンスを利用して商談に結びつけています。

 

ゴルフについてはどうですか?

 

ウチの会社の場合、現地採用にはゴルフの参加義務はありません。駐在員は土日のどちらかでゴルフに参加しなければならないみたいですけどね。

 

土日出勤(休日出勤)はありますか?

 

自主的に休日に出勤して仕事することがあります。平日だけだと仕事が終わらないことがあるからです。

 

駐在員について

良い人たちが多いです。駐在員と現地採用の人間関係はとてもうまくいっていると思います。

 

ただ、駐在員は本社からの出向だから、日本を向いて仕事をしているという印象があります。そのため、日本からの案件が第一優先になってますね。

 

また、駐在員を見ていると、ウチの場合、ローカルのマネージャーやスタッフと余り打ち解けてない感じがします。なので、タイ人スタッフも距離を置いて付き合っているように見えます。

 

仕事に関しては、自由に出来ています。駐在員の顔色を伺って仕事をするようなことは無いですね。
駐在員はいつかは日本に帰る存在なので、現地採用にとって完全な仲間ではないですね。駐在員も現地採用に対して一線引いているとも感じ、現地採用の方も一線引いているというように感じます。

 

日本人の現地採用との関係について

 

近すぎず、適度な距離感を保てていると思います。仲は悪くありませんが、友達感覚でもありません。

 

タイ人についてはどうですか?

 

タイ人は「ロジックで考えない」ですね。言葉で表現するのが得意じゃないという印象を持っています。

 

たとえば、パソコン、サーバーについてタイ人に、「なぜ、こういう設定をしたのか?」という質問をすると、

 

「それがスタンダードだから」という回答しか返って来ないことがあるんです。

 

あと、タイ人は先を読むということもあまりしません。

 

この日にこれをやるから、逆算してこれとこれをやるという考えが出来ないんです。実際にそれをやる日になってから考えるという傾向があります。

 

計画を立てるのが苦手なのかもしれません。とくに、ブルーカラー系は面倒くさがりの人が多いです。

 

また、タイ人は権力者(ボス)の言う事はよく聞きますね。言い換えると、「自分の利害に関係する人」の言う事はよく聞きますが、それ以外の人のことは聞かないです。

 

私の言う事が第一優先にならないことも多く、自分のボスや友人が優先されてしまうこともあって、そういうときはとても困ります。

 

ウチの会社はタイ人の大卒や院卒が多いんですが、彼らはプライドが高いです。

 

タイ人にしてみれば、自分たちが月給15,000THBとか20,000THBで働いているのに、なんで入ったばかりの新人の日本人がいきなり自分よりも2~3倍以上ももらえるのか?ってことになりますよね。タイ人にとっては、そういうのはつまらないでしょう。

 

タイ語について

 

タイで働くならタイ語は必要です。ウチの会社は社内公用語は英語なんですが、タイ人の中には英語が分からない人もいます。こちらが話す英語をタイ人に分かってもらえないこともあるし、タイ人が話す英語が分からないこともあります。だからタイ語が必要なんです。

 

あと、タイ語の方がタイ人にとって実感があるんですよ。

 

例えば、職場で日本人の私たちが英語でメールを受け取るときよりも、日本語でメールを受け取ったときの方が、「怒っているメールだな」といったようなことが日本語だと感覚で分かりませんか?

 

タイ語については、今の会社に入る前に勤めていた日系企業で実践を通して学びました。最初は基本単語を知る為に本を買いましたよ。トラベルタイ語を覚えて、後はずっと実践で勉強したんです。

 

耳で覚えた感じです。タイ語というのは日本語のカタカナ読みだとタイ語風の発音にならないんですよ。

 

職場以外ですと、タイのローカルのバーに行って、なるべくタイ人とタイ語会話を楽しみながら勉強してる感じですかね。

 

とはいえ、自分のタイ語のレベルは前の会社にいたときよりも下がっているかもしれません。まあ、タイで働くならタイ語は出来た方がいいですよ。

 

今後について

 

今はこの仕事でキャリアとして語れるようにしたいです。ITの知識と営業のノウハウを身に付けてステップアップのチャンスがあればそれを活かしたいです。

 

あと、もし起業をするのであれば、営業の知識も活用出来ればと思っています。

 

先日、知り合いの元エンジニアの人で、IT関連でタイで起業した人と会って話したんですが、その人が言っていたのが、

 

「やっぱり、営業だよね。エンジニアも営業的なことをしないと駄目だよね」

 

という話でした。
起業するとそうですよね、自分が経営者になれば営業的なこともしないとお客さんも獲得できないですから。

 

だから、「営業って必要だね!」ってことをその人からはよく言われるんですよ。

 

仕事で楽しいこと、面白いことはありますか?

 

無いですね。自分が仕事を楽しめるレベルまで行っていないということです。

 

20代の子は、「今さえ楽しければいい」という考えになりがちです。それはそれで大事だと思います。

 

30代~40代ぐらいの年齢になると、将来のことも見据えて仕事について考えないといけなくなります。

 

これからタイで働きたい人に送るメッセージ

 

自分の場合、タイにどうしても来たいと思って来た訳ではないんですよ。タイ人の奥さんのことがあってタイに来ましたから。

 

タイで働くメリットとしてあげられるのは、「英語を使う機会が多い」ということです。日本の地元にいますと、英語を使うことなんでめったにありませんからね。タイで英語を使ってタイ人や、世界から来た色々な人種、民族の人たちと話をしていると見聞が広まります。

 

語学を使って仕事をしたいという人にはタイで働くのはいいんじゃないでしょうか。

 

あと、タイというのはマイノリティーに対する差別がほとんどありません。たとえば、ゲイやレディボーイの人たちも普通に職場で一緒に働いています。人種差別というのもあまり無いと思いますね。

 

日本だと、人種が違うといっただけで違った目で見られることもありますがね。

 

ただ、最後に伝えておきたいことがあって、私はタイに来る前は、タイに来たらゆっくり働けると思っていたんですよ。

 

でも実際に働いてみたら日本で働くのとそれほど変わらない、それよりもタイで働いた方がしんどい場合もあります。

 

もしかしたら、タイだったらゆるく働けて毎日生活出来るというイメージをもっている人もいるかもしれないんで、その辺は気をつけた方がいいですね。