タイでの最初の就活が一番の売り手市場になる
これを読んでいる方々の中には、タイで働くことに大いなる夢を抱いている人もいるかもしれない。
筆者もそうだった。日本の過酷な労働環境、社内の人間関係構築の難しさ、所詮は組織の歯車にしか過ぎないという諦念から起こる虚無感など、日本の会社で働くことには様々な大変さがつきまとう。
タイで現地採用で働けば、多少は日本よりもゆるい環境の中で働けるかもしれないと夢見ている人もいると思う。確かにタイの会社は日本よりはゆるい。日系企業でさえもタイ特有のゆるさを備えている。しかし、現地採用の日本人がタイで働く時の大変さというのがあるので、その細かい部分をこのサイトで伝えて行けたらいいと思っている。
前置きが長くなってしまった。このページでは、タイで一番最初に現地採用として職を探すときのことについて書く事にする。
タイ現地採用の職探し〜3つのケース
初めてタイ現地採用の職を探す場合、以下のケースが想定されるだろうか。
- 貯金をしてタイに渡って、タイ国内で職探しをするケース
- タイにあるタイ語学校に在籍しながら、就職活動をするケース
- タイにある企業の求人に日本から応募するケース
①貯金をしてタイに渡って、タイ国内で職探しをするケース
筆者はこのケースだった。厳密には②と③を組み合わせたケースといえる。バンコクにあるタイ語学校で約1年間タイ語を勉強して日本に戻って、それからタイで働きたいという思いが抑え難く、タイに帰って来て就職活動をした。
タイで転職活動をする場合、最低でも15万バーツは用意しておきたいところだ。15万バーツあれば3ヶ月はタイで就職活動ができるだろう。これについては、下記記事でも詳しく書いている。
参考記事
→タイで仕事を辞めて転職活動するなら最低でも15万バーツは用意しておきたいところ
②タイにあるタイ語学校に在籍しながら、就職活動をするケース
タイで働く上でタイ語はやはり重要である。働きながらタイ語を学ぶことも出来なくは無いが、余程の意志の強い人でなければ、就労しつつのタイ語の独学はうまくいかないかもしれない。一定期間をタイ語の学習にあてて、それからタイで就職活動をするのは悪くないと思う。とくに、タイ語学校に通っていれば、学生ビザが出ていることもあるだろうから、余裕をもって就職活動が出来るだろう。
③タイにある企業の求人に日本から応募するケース
日本からスカイプなどを使ってタイで募集している日系企業の面接を受ける。こんなことも現代ではよくある。ただ、求人サイトで「タイまでの渡航費支給」などと書かれていても、実際には支給されなかったりといったこともあるようだから注意が必要である。
こうした日本から応募可能なタイの現地採用の求人というのはリクナビネクストのような大手の転職サイトでも探すことが出来る。
タイでの最初の就活が一番書類選考の突破率が高かった
タイで最初に就職活動をしたときには、エントリーすれば面接になったし、面接にいけば内定を取れるというようなウハウハな状態だった。エントリーした翌日には面接になるぐらい、エントリーから面接、内定までのスピードも速かった。
おかげで内定をもらったどこの企業に行くかどうか相当悩んだものだ。いまとなっては贅沢な悩みだと思うが当時はそれぐらい売り手市場だった。
もちろん、かつてのタイの転職市場の状態(2013年頃)と現在とでは状況が変わっているかもしれない。最近のタイは景気が悪くなっていると聞く。企業側も求職者の人材の選定にあたっては相当慎重になっているだろう。
だが、タイでの最初の就活が有利なのは市場の状況が変わっても変わらないと思う。まず年齢の問題もある。若ければ若いほど有利だ。反対に年をとればとるほど、転職の際にスキルや経験を問われて行く。
また、タイでの最初の就活時というのは、「タイでの経歴がまっさらな状態」であるということ。日本での経歴はどうだったか分からないが、少なくともタイでは将来が未知数であり、企業が求職者の「将来性」や「潜在能力」に賭けて採用することは多くある。仕事上のスキルや経験は不足しているかもしれないが、企業内で教育をして企業がその人材を育てて行こうという姿勢をもった日系企業はタイに多い。
これがタイで2社、3社、4社、5社と短い期間で転職をしていると、転職するたびに書類選考突破率や、内定獲得率が下がることを実感することになる。
だからこそ、タイでの最初の転職というのは大切なのである。売り手市場で有利に転職活動を進められるときに、どういう将来の姿を描きながら、今どの会社に入って何をやっていくかを考えるのは大切だ。
そうはいっても、机上で考えたキャリアプランのようにはいかないのが転職である。やりたい仕事であるとか、多少自分に向いた仕事であっても、社内の人間関係で潰されて、社内に居づらい雰囲気になって自ら退職を選ぶこともあるだろう。
タイの現地採用の現実も厳しい。だからといって、「どんなに嫌なことがあっても、一つの会社に長く勤めなければいけない」という考えを金科玉条のようにして自分を縛り付け、心のバランスがおかしくなるまでその会社に居続けることは無いだろう。
このサイトが今まさに会社で悩んでいる人のちょっとした慰めになってくれればいいと思っている。筆者のようにタイで職を転々としていても何とかなるものだし、あまりキャリアとか仕事というものについて深く考えすぎてもいけない。
仕事というのは、なるようにしかならないこともあるということである。