タイ語留学を経て現地採用を目指すのはアリか
これからタイで現地採用として働こうと思っている人たちの中には、「タイ語を覚えてから現地採用としてタイで働きたい」という考えの人もいることだろう。
ここではそれについて考えてみたい。
仕事だけを考えたらすぐに就職活動した方がいい
まず、キャリアの観点からだけで言ったら、語学の習得だけを目的にタイ語留学をするというのはあまりオススメ出来ない。
「私費留学でタイ語をバンコクで学びました」などというと、就職の際に面接官から、、、
「遊びたくてタイに来たのか。タイ語留学はタイで遊ぶための隠れ蓑じゃないのか」
などと色眼鏡で見られることも無いわけではなかろう。
また、タイ語を覚えたかったら、現地採用としてすぐにタイで働き始めた方が良いということも言える。働きながら、苦労して覚えたタイ語の方が身に付くからである。とくに、タイ語というのは発音や聞き取りが難しい。1年程度勉強したところでペラペラになるような代物でもない。
それから、タイの職場で苦労しながらタイ人とコミュニケーションをとっていると、次第にタイ人の側の方でも、「ああ、この日本人はこういうことを言おうとしているんだな」というのを分かってもらえるようになる。こちらも、「このタイ人はこんなことを言っているに違いない」ということをその場の文脈・状況から推測出来るようになってくる。
そのため、現地採用の日本人の中で、とくにタイ語を学校で勉強した事が無いという人でも、驚く程上手なタイ語を操る人もいる。タイ文字の読み書きが出来なかったとしても、仕事を遂行する上で支障がないタイ語をそういう人は身に付けているのである。
そうは言ってもタイ語を学びながらタイで遊びたい人もいるはず
筆者の場合、バンコクでタイ語を1年間学んだ。日本での労働にも嫌気がさしていたし、仕事を頑張った自分へのご褒美としてのタイ語留学という意味合いもあった。
留学といってもそんなに時間的に張りつめたものでもなかったし、学校のコマ数も少ないので、日々のんびりとマイペースで勉強していた。
学生というのはやはり気楽なものだ。タイ国内を旅行もしたし、日々ぶらぶらして、何もせずにいることもあった。そういうゆったりとした、怠惰な時間をタイで過ごせたのは貴重だったと思う。
そういった休息の時間というのが必要な程、日本の会社の労働というのは過酷である。だから、留学でもバックパッカーでも、ワーキングホリデーでもいいので、海外生活というのを自分の心をリカバリーする時間として捉えることは決して悪く無いと思う。
タイ語留学なら会社とはまた別の出会いがある
人との出会いというのも決して軽視すべきファクターではないだろう。タイのタイ語学校で知り合える友人というのは色々な人がいる。日本人だけではなく、世界各国の出身者と知り合う機会でもある。
学校が良いのは会社の肩書きとか、ビジネスを抜きにして、タイ語の習得という目的をもって人と知り合えることである。仕事上の利害関係が無いので、後々まで続く友人が出来やすいだろう。
タイで本当に現地採用をしてまでタイにいたいのか見極める
半年なり1年、タイでタイ語を学んだとしたら、タイという国がどんなものなのか、分かって来るだろう。タイ人の良いところだけではなく、悪いところも生活をしながら見えて来るに違いない。
それでもタイにいたい!、タイで働きたい!という決意があるか、それを見極めるためにタイ語留学をしてもいいのではないだろうか。
筆者の場合は、留学を終えた後もやはりタイで働くことを選んで、現地採用というイバラの道を歩むことになった。そして、タイで働くことと、留学生でいることとは自分の気持ち(ストレスの度合い)に雲泥の差があるのだということを身をもって知ることになった。
結局のところ、私は自分で経験してみないと納得しないタイプなのかもしれない。
タイやタイ人の不思議な魅力に取り憑かれて、おそらく、タイで生活することを選ぶ人はこれからも増えて行くことだろう。
欧米のような洗練された文化もなければ、タイ人のもつ拝金主義にうんざりすることもある。タイは想像を超える格差社会だし、街を歩いているだけで絶望的な貧富の差を体感できるはず。時には、札束を手にして笑顔を作る写真の載った広告を眺めて、違和感を覚えることもある。
だが、タイには何とも言えない居心地のよさがあるのだ。閉塞した日本の空気感に窒息しそうになり、タイにやってくると解放感でいっぱいになって、幸福感に酔いしれる。外こもりには最高の場所だろう。
まあ、働いていなければタイは最高だし、「タイは働くところじゃない、遊びに来るところだよ」と言われることもある。
そういうお叱り(お説教!?)を受けることは重々承知している。それでもタイの楽しさを体験するなら、タイ語留学は貴重な経験になるはずだ。