タイ語を勉強するときのいくつかの方法

タイ語を勉強するときのいくつかの方法

タイで働くならタイ語が出来た方がいい。同僚や上司がタイ人のときもあるだろう。語学の習得には終わりが無い。ここでは、いくつかの勉強法がある中で、取り組みやすいものをあげていくことにする。

 

タイ語のカラオケを覚える

タイ語を勉強するときのいくつかの方法

 

これは筆者がアユタヤのプレス工場に勤めていたとき、とある測定器の商社に勤務している駐在員から教わった方法である。その方はタイに10年以上駐在していて、タイ語も上手かった。その方曰く、「タイ語の歌を覚えて、タイ人の前で歌ったときに、びっくりされるのが嬉しいんですよ」ということであった。

 

私もそれに倣ってタイ語の歌をいくつか覚えた。タイ語の歌を覚えるにはタイ文字の習得は不可欠である。タイ文字を知らなくても「話す、聞く」だけだったら何とかなるが、タイ語の歌の場合は正確な発音、声調で歌わなければならない。カタカナタイ語だとタイ語の歌らしくならない。Youtubeでタイ語の歌を検索すると大抵タイ文字の歌詞付きの動画が出て来る。それを使ってひたすら練習を繰り返して行くと良い。

 

筆者の場合、タイ語カラオケを覚えて、実際に会社のタイ人の前で披露できるチャンスというのはあまり無かった。会社の行事でどこか食事に行って、その際にカラオケがあって、自分の歌を披露できればそれが一番だ。会社のタイ人ともカラオケを通して一気に打ち解けることもあるだろう。「チャンスは少ないが、万が一のときに備えてタイ語カラオケを覚えておく」のが良い。

 

会社の行事以外でいうと、タイローカルのカラオケに行ったときに、タイ人の前で歌えるので、場所によってはびっくりされて、歓待を受けることもある。タイローカルのカラオケは、曲数が少ないという問題もある。いまだに歌本が置いてあって、限られた歌の中から選ぶような古いカラオケの機械しかない店もある。メジャーなタイ語の歌をいくつかマスターしてレパートリーを増やしておくべきだ。

 

タイ語を勉強するときのいくつかの方法

 

職場の実践で覚える

 

タイで働いているととにかく時間が無い。仕事から帰って来たら疲れてしまっていて、タイ語を勉強する気力は残されていないかもしれない。

 

あと、語学以外の業務内容を理解したり覚えたりするのに手一杯になることもある。

 

となると、職場のタイ人とのタイ語会話を通してタイ語を覚えていくしかない。タイ語はヒアリングが難しい。タイ人の発音は早口に聞えることもある。また、地方出身者のタイ語は方言が混じっていてよくわからないこともある。学校や教科書に付属しているCDの音声のようなタイ語の発音だったら有り難いが、実践の会話の音を聞き取るのは大変だ。

 

慣れて来ると、その場の状況や文脈によってタイ人が何を言おうとしているのかが分かって来る。「話の内容を推測して聞く」という方法である。この方法を取る場合、仕事の内容を深く理解しておく努力が必要だ。会社の仕事というのは場所が変わっても基本的な流れとか内容は変わらないことも多い。仕事の経験が多い人ほど有利である。

 

会社の実践の場を通して知らない単語とか表現に出会ったら、自作の単語帳にメモしておくと良い。その単語帳は復習出来ればベストだが、必ずしも復習しなくても大丈夫だ。単語帳を作るという作業をやっておくだけで、記憶に残る確率が上がる。

 

後、これは筆者の場合は苦手なのだが、「タイ人の前では、大声ではっきりと喋った方が通じやすい」ということがある。ついつい、タイ語の発音や声調を気にすると大声で喋らないこともあるが、カタカナ発音で下手糞なタイ語だったとしても、大声で堂々と喋る方がタイ人に伝わる。

 

やっぱりタイ文字が出来ると便利

 

タイで働く人の中には、タイ文字必要論者と、不要論者がいるだろう。タイ滞在経験が長くて、生活や仕事を通してタイ語をマスターしてしまったという人には何人か会ったことがある。ちゃんとヒアリングも出来るし、業務を遂行する上で全く問題無いようである。

 

それだったら、タイ文字などわざわざ勉強しなくてもいいじゃないか?と思えるかもしれない。タイの職場だったら、工場でもメールのやり取りなどは英語が主流だからだ。外国人にタイ文字のメールが送られて来ることはあまりない。

 

それでもタイ文字が出来ると良いと思えることはある。工場で勤めているときにも、社内に掲示されてあるタイ文字の文章が読めると便利だ。

 

タイ人部下に指示を出すときにも、紙の切れ端か何かにタイ文字を書いて渡すとすんなりと理解される。逆にヒアリングが出来ないときに、タイ人に紙にタイ文字を書いてもらってそれを読んで理解することも出来る。

 

といっても、タイ文字が出来たとしても、それでタイ人から一瞬は驚かれて、人によっては尊敬されることもあるのだが、そういう面でのプラス効果はほんのひとときだと思った方が良い。

 

タイ語のスピーキングとリスニングが上級レベルで出来て、タイ人の言っていることがきちんと理解出来ることの方が大事だ。「あの日本人はタイ語の聞き取りも出来るし、それもきれいな発音で話せる」という方がタイ人からの賞賛を浴びやすい。これは見た目の分かりやすさの問題だろうと分析している。

 

タイ文字を努力して勉強してモノにしたとしても、そういうコツコツとした地味な努力というのは、タイ人にとっては分かりにくいものだからだ。他人の教養とか頭の良さの尺度を計るという観点からも、タイ語会話がペラペラの方がタイ人の受けは良いだろう。

 

タイ社会において、本を使ってきちんと勉強しているような人とか、日常的に寸暇を惜しんで読書に勤しんでいるような人はどのくらいいるだろうか。多分、多くの人は本を読むよりもTVを観るだろうし、本や新聞、雑誌などの文字から情報を得るよりも、人との会話、噂話から情報を得ているだろう。(もちろんこれには例外もある。タイは階級社会である。タイ人の中には欧米への留学を経験していて、かなり時間をかけて教養を育んできたような人も多くいるからだ。そういう人たちは考え方も欧米人のエリートに近かったりするので、決して油断出来ない。)

 

となると、タイ文字を覚えても苦労の割にはあまり効果が無いのかなと思われるかもしれないが、それでも余力があるならタイ文字は覚えておいて損は無い。

 

筆者の場合はタイ語留学をしていたときに、集中してタイ文字に取り組んでタイ文字をあらかたマスターするのに2ヶ月ほどはかかった記憶がある。タイ文字の規則は論理的であるけれど、基本的に語学の勉強なので、理屈抜きに何度もノートにタイ文字を書いて丸暗記をする必要がある。

 

何度書いてもどうしても覚えられないこともある。それでも書いているといつの間にか覚えてしまっているという感じだ。

 

タイ文字をマスターした後は看板に何が書いてあるのかが分かるようになって楽しくなる。さらにタイ語を勉強して行くと、崩してあるタイ文字フォントであっても読めるようになる。

 

そこから先は単語量がモノを言う段階に入る。すなわち、知っている単語が多ければ多いほど、未知の文章に出くわしたときに、文意を類推できるようになるのだ。知らない単語ばかりだったら、タイ文字が読めてもやはり意味が分からない。

 

語学の習得は何語であっても大変である。